うつ状態が
2週間以上続いている場合に、「うつ病」が疑われる。
短期的な鬱状態(例えば日曜日や夏休みの終わりなどに憂鬱になったり、重大な会議やプレゼン前に鬱になったり)は、「うつ病」とは診断されない。誰だっていやなことがあれば憂鬱になり、それは特段病気というほどのものではないからだ(もちろん、短期的なものでも、不安障害など、別の病気の場合もある)。
■うつ病と似た症状を呈するもの
統合失調症(旧来でいう精神分裂症)、アルコールなどの依存症、パーソナリティ障害(性格障害)、不安障害、適応障害
降圧薬やインターフェロンなどの副作用でも類似症状が起こる
■うつ病自己診断チェック項目(簡易版)
①抑鬱気分
②興味・喜びの喪失
③食欲障害
④睡眠障害
⑤焦り
⑥疲れやすい、気力の減退
⑦強い罪悪感
⑧思考力・集中力の低下
⑨自殺欲求
以上のうち、5つ以上の症状が2週間以上続くようなら、精神科医なり心療内科医なりに要相談。
■周囲の人間用チェック項目(家族など前々から親しく接していた人が大丈夫かどうかチェックする時用)
①元気がない、活発さが失われている
②体調不良の増加
③作業効率の著しい低下、ミスの増加
④遅刻・欠勤などの増加
⑤他人との交流の減少(人と関わりたくなくなる)
⑥趣味からの撤退、外出の減少
⑦飲酒の増加
いくつか該当していれば、簡易自己診断を勧めるなりする。
■治療薬(特に青少年期の場合、副作用として逆に自殺衝動が沸く場合もある)
□SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor、選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
うつ病の原因はまだ完璧には解明されていないが、原因の一つとして、ニューロン間(シナプス)の神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなど)が少ないために症状がおこる、というものがある。セロトニンは、ニューロンから放出された後、受容体に作用するのだが、同時にトランスポーターから再取り込みも行われている。異常がなければセロトニンは十分放出されているため、再取り込みされても十分に受容体にセロトニンが届くが、うつ病患者の場合はセロトニン放出が少ない。そのため、SSRIによりトランスポーターでの再取り込みを阻害し、シナプス間隙でのセロトニン濃度を高くすることにより症状を緩和することができる。効果が現れるまで2週間前後かかる。副作用に依存性が強いものもあるので注意。世代的には第三世代。
□SNRI(Serotonin & Norepinephrine Reuptake Inhibitor、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
SSRIと似ているが、こちらはノルアドレナリンにも作用。効果が現れるまで2週間前後かかる。世代的には第四世代。
□三環系抗うつ薬(化学構造で環が3つある、の意)
受容体に作用して、シナプス間隙の神経伝達物質の濃度を高くする。第一世代および第二世代。副作用として抗コリン作用による排尿障害が大きく、夜尿症に用いられることも。効果が現れるまで2週間前後かかる。
□四環系抗うつ薬(化学構造で環が4つある、の意)
三環系と同じく受容体に作用する。第二世代。副作用として抗コリン作用。3~4日で効果が現れる。
■その他治療法
当然、薬剤服用による治療以外で治療できるならば、その方がよい。
認知療法(考え方の矯正など、心理学的プログラム)、運動療法(その他、ストレス発散により根本を絶つ)など
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