取消訴訟における「処分性」の判例として有名であった高円寺青写真判決。
従来は土地区画整理事業計画の公告段階では
①まだ「青写真」の段階であり争訟とするには未成熟であること、
②公告により当該地区内の不動産所有者にある程度の制限が生まれるがこれはあくまで「付随的効果」にすぎないこと、
③その後の換地処分などの(争訟が成熟し、権利に対する具体的な変動が生まれる)段階で、当該具体的処分に対し取消訴訟を行えばよい、
等の主張により、処分性が否定され、取消訴訟は棄却されていた。
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最大判平成20.9.10
判旨:(概要から自己流でまとめた)
公告があった時点で当該地区内の不動産所有者にある程度の制限がかかる(これは上述の通り過去にも認めている)。
そして、換地処分などの段階までは特段の事情のない限り計画通り進む。
(過去の判例の示す通り)換地処分の段階で取消訴訟を起こすことは可能であるが、
計画がここまで進んだのに今更頓挫させることは公共の福祉に反するとして、「事情判決」法理により、取消訴訟は棄却される可能性が相当程度ある。
つまり、(過去の判例の示す通り争訟が成熟する)換地処分等の段階まで進んでしまっては、結局不動産所有者は救済されない(蓋然性がある)。
ゆえに、実効的な権利救済の観点から見ても、土地区画整理事業計画の決定段階での処分性を認め、訴訟の提起を認める。
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結論:以前は「土地区画整理事業計画の決定・公告段階での取消訴訟提起は処分性が否定されるため、公権力の行使に当たらないとして棄却」だったものが、「土地区画整理事業計画の決定段階で処分性を認め、取消訴訟の提起を認める」に変更された。(※実際に請求認容し計画を取消にするかどうかは個別具体的判断)
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